あらかじめ失われたタイミング。

ゴルフスウィングの極意のひとつは、切り返しの3つの動作にあります。 →参照

それと並ぶ、もうひとつの重要ポイントがあります。それは、遅いタイミングで打つことです。そのためには、いろんな意味において、決して手を使わないということです。そのことについて説明しようと思いますが、昔、Choiceに連載したものがあるので引用します。

「手でヘッドを返すスウィング」と「体でヘッドを返すスウィング」は、天と地ほどに違うものです。ところが、見た目の差はけっこう微妙です。打っている本人も手でヘッドを返していることに、気づかないケースがほとんどで、自覚症状のもちにくさが直りにくさの原因にもなっています。

…(中略)…

「手でヘッドを返すスウィング」とは、「体の回転によってヘッドが返る前に、手でヘッドを返すスウィング」です。「(体の回転によってヘッドが返る)前に」というところがポイントです。

前か、後か。それはタイミングの問題です。

体を回転させればヘッドは自然に返ります。しかし、自然に返るタイミングよりも早いタイミングで、手を使ってヘッドを返すスウィング。それが「手でヘッドを返すスウィング」です。要するに「手でヘッドを返すスウィング」と「体でヘッドを返すスウィング」の違いは、タイミングの違いなのです。

手と体、どちらのチカラをより多く使っているかという強弱バランスの違いではありません。ほんの小さなチカラでも、タイミングが早ければ「手でヘッドを返すスウィング」です。逆に、強力なパワーを手元に込めていても、タイミングが遅ければ「体でヘッドを返すスウィング」です。

もしも、強弱バランスの違いなら、グリップをゆるく握ったりして解決できるかもしれません。しかし、タイミングの違いだからなかなか直りにくいのです。

…(中略)…

ほんとうは8時の快速電車に乗らなければならないのに、7時50分の普通電車に毎日乗っている人は、8時の快速電車の存在に気づかないといったところでしょうか。
うまくいえなくてもどかしいのですが、とにかく正しいタイミングが来る前にボールを打ってしまうので、正しいタイミングの存在がわからなくなってしまうのです。

…(中略)…

というわけで、「手でヘッドを返すスウィング」と「体でヘッドを返すスウィング」には連続性がない。いくら練習しても「小さな筋肉」から「大きな筋肉」への自然な移行はあり得ない、と第1章で述べた意味が少しはおわかりいただけたでしょうか。

…(中略)…

「手でヘッドを返すスウィング」を直すためには、まず振り遅れの練習をしなければなりません。

(Choice1998年5月号)

8時の快速電車という突飛な比喩を出していますが(汗)、ここれが「手でヘッドを返すスウィング」から脱出するのがむずかしい理由です。「手でヘッドを返すスウィング」をしている人には、正しいタイミングはあらかじめ失われているのです。

関連リンク

逆パワーは腸腰筋だった。

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