男子アマは、女子プロをお手本にすべきか?

雑誌の記事をみていると、男性アマは女子プロのスウィングをお手本にして練習するのがいいという意見がときどきのっています。女子プロの多くは男性アマよりも体力がなさそうに見えますが、男性アマ以上に飛ばします。それは、クラブの性能をフルに使いきって、遠心力をより効率的にクラブヘッドに伝えるスウィングです。そこに、女子プロのスウィングの魅力があります。男性アマも、そういうスウィングをめざすべきだというわけです。これは、はたして正しいのでしょうか。今回は、それがまちがいであることを示したいと思います。

アマは女子プロをお手本にすべし、という意見の元にあるのは次のような判断だと思われます。

男子プロのスウィングはタメ打ち(またはハードヒッタータイプ)である。これはむずかしく、アマにはマネできない。他方、女子プロはタメ打ちではなく、遠心力で飛ばしている(またはスウィンガータイプ)。これなら、アマもマネできる、という判断です。つまり、男子プロはタメ打ち/ハードヒッター、女子プロは遠心力打法/スウィンガーという分類がなされ、かつ前者はむずかしいが、後者はやさしいという判断があると思われます。

では、ほんとうにタメ打ちは無理でも、遠心力なら簡単で、アマでもマネできるのでしょうか?

女子プロのスウィングを分解写真などで検討し、男子のスウィングと比較してみましょう。女子プロの大きな特徴は、インパクトで腰を大きく開いていることです。男子プロの腰の開きを45度とすれば、女子プロは50度は開いています。その分、女子プロは肩も開いています。なおかつ、肩と手でつくる三角形がつぶれ、ふところが狭くなり、腰・肩に対して、手が遅れてきてインパクトしています。

これが何を意味するのか。腰が開くのはいいのですが、肩も開いています。これはタメがつくれないということを意味します。タメをつくるためには上体と下半身の回転差が不可欠だからです。しかし、手は遅れているわけです。これは、腰を開いて、相対的に手を遅らせることで、「遅れ」をつくり、「タメ」の代替的な動作として用いていることをあらわします。

飯島茜

つまり、女子プロはタメができないから、腰を大きく開き、相対的に手を遅らせることで、「タメ」の代わりに「遅れ」をつくる動作を無意識のうちにおこなっていることになります。この「遅れ」の動作がほんとうに「タメ」の代わりになるのかどうかは議論の余地があるところだと思いますが、この動作が飛ばしの秘訣であり、この動作によって遠心力をフルに使って飛ばすことが可能になっているのは確かであると思います。

これをマネすることができるでしょうか?この動作は、じつは男性アマがもっとも苦手とするものです。

まず、腰を開いてインパクトすることができません。なぜなら、手打ちの人は腰が開ききる前に、早いタイミングで打ってしまうからです。リリース打法の人も、早いタイミングで合わせにいっています。反論がある方は、練習場で、腰を開ききって打つ練習をしてみてください。できないと思います。ここに掲載した写真のように、腰を開くことができますか?
※できる人はもちろんいると思いますが、それは少数(才能あり)。

つまり、平均的な男性アマは女子プロよりも、タイミングが早いわけです。これこそが、じつは決定的な問題なのです。
軽く考えてはいけません。

タイミングを遅くするのがアスレチックなスウィングの必須条件であり、それがきわめてむずかしいことは、当メソッドの第2メソッドで何度もいっていることなので、ここではくり返しません。これができれば開眼という、むずかしいものです。これは、ほいほいと簡単にマネできるようなものではないのです。

腰を開くことによってつくる「遅れ」が女子プロのスウィングの真髄であり、したがって、ほかをマネしても無意味だと思います。そこに飛ばしの秘訣があるからです。

つまり、男性アマは女子プロをマネすべしという見方は、当メソッドのいい方に変換すると、第1メソッド「逆パワー」はむずかしいけれど、第2メソッド「遅いタイミング」は簡単だという見方になります。しかし、第2メソッドもむずかしいわけで、そんなに簡単にマネすることはできません。

あなたのまわりを見回したとき、女子プロ風のスウィングで飛ばしている方はいますか?

女子プロをマネすべしという意見がよく出される背景にあるのは、アマの「タイミングが早い」という根本的な問題の存在とその重要性が理解されていないということです。

広告
広告