ゴルフスウィングの奥義:腰は開くが、肩は開かない。

核心のところに行きます。

切り返しは手で行うのではなく、足で行うのでもありません。大腰筋(=インナーマッスルのひとつ)を使って、しかもそれを逆方向に使って、切り返すのがその方法です。(これを従来は背中の筋肉といっていましたが、正確にいえば大腰筋に。私の場合、背中の下部、腰の上あたりを意識しますので、背中の筋肉と書きました。)

そのとき、大腰筋の使い方は、クラブヘッドを持ってあげる役とグリップを引っ張る役を、一人二役で演じるような動き(前回の本文参照)です。 ダウンするのを妨げるように使い、そのことで肩の開きを防ぎます。

 とりあえず、逆パワー・メソッドでは体幹の筋肉の使い方を、3つのステップに分けて説明しようと思います。まずは、チカラの入れ方の第1段階です。

 体でスウィングしようと思えば、腰や肩、胴体を回転させることによってボールを飛ばそうとします。ですから、肩をうまく回転させようと一生懸命努力している方もおられるでしょう。肩を積極的に回すことでパワーを出そうとする人もいるでしょう。しかし、残念ながら、それは間違った努力です。肩が回転しないようにチカラを入れるのが、重要なコツなのです。

なぜなら、ゴルフスウィングの奥義は、腰は開くが、肩は開かないこと。いいかえると、切り返しで腰を始動したとき、肩は回転させず、腰と肩の回転差をつくることなのです。

 どういうふうにやるのか説明します。ダウンスウィングの始動はまず左足を踏み込んで、腰を開いてゆくことでスタートします。ベタッと左足の足の裏全体を地面に着けると、膝が正面を向きます。そのとき、腰の回転につられて肩が一緒に開こうとします。しかし、何がなんでも、絶対に開いてはいけません。

 肩が開こうとするのを、大腰筋を思いきり使ってグッグッと必死にこらえます。これが、正しい筋肉の使い方です。つまり大腰筋は、腰の動きにつられて開こうとする肩をもう一度逆方向に押し返して、クローズドに保つために使うというのが第1のポイントです。

 一般のイメージでは、肩を回転させてボールを打つのがスウィングであるということになるのでしょうが、その反対が正しいのです。肩は回転しないように、ガマンすることがボディターンの奥義です。意外なようですが、切り返しで腰は正回転ですが、肩は逆回転なのです。

 これについては、次のような反論が予想されます。左足を踏み込んでダウンスウィングを始動すれば、自然に上体は遅れてついてくる。だから、特別に体幹の筋肉を使う必要などないのではないか…。

 確かに、一般にはそう信じられています。ベン・ホーガンをはじめ多くのプロゴルファーがいままで同様のアドバイスを著書の中でくり返し述べてきました。しかし、それはプロだからできることなのです。

 逆にいえば、特別な努力をしなくても左足から踏み込んで始動するだけで上体が遅れて、回転差ができる素晴らしい才能をもった人だから、プロゴルファーになったのです。一方、アベレージゴルファーはといえば、自然にはそうならないから、アベレージゴルファーなのです。

 「左足の踏み込みからダウンスウィングを始動すれば、自然に上体は遅れてくる」というアドバイスから私たちが学ばなければならないことは、「アベレージゴルファーは自然にはそうならない」ということです。

 これが、実はけっこう大切なポイントです。プロが書いた素晴らしいゴルフレッスン書が、アマチュアのスウィングについて誤解しているポイントです。「左足の踏み込みからダウンスウィングを始動すれば、自然に上体は遅れてくる」というのはよくできた神話です。

 事実を指摘しておきたいと思います。左足からの踏み込みはほとんどのアベレージゴルファーがちゃんとできています。しかし、左足からの踏み込みで始動しても、その瞬間、肩のねじりがすべてほどけて腰と肩の回転差がゼロになってしまうのがアベレージゴルファーの現実の姿なのです。切り返した瞬間に、ねじりのパワーを放出しているという事実をしっかり直視してほしいと思います。

 プロのスウィングを見てください。切り返しで腰を力強く開いても、肩はそれほど動いているようには見えません。しかし、それは表面上のカタチです。 実際には、腰が正回転して肩がやや逆回転するので、2つの動きが相殺されて結果的に肩はそれほど動いていないように見えるのです。ですから、一見しただけでは大腰筋の働きはわかりにくくなっています。

 腰の正回転と肩の逆回転を同時に行うことです。大腰筋を使って、肩が開くのを防ぐことができれば、スウィングは驚くほどうまくいきます。

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